|
◆4日目 移動セッション→高知
朝5時に起きて出発。
新郎はちょっとほっておくと腰に根が生えて動けなくなる状態が多くなってきた。今日はなるべく休まずに高知までいっきに走りたい。
海沿いをひたすら徳島にむかい、徳島からは室戸岬を経て、何とか午前中に高知に到着。
ここまで吉野屋だけでご飯をがまんしてきたので、何としてもおいしいものが食べたいと、桂浜周辺の店に入ってかつおたたき定食をいただく。
ところが、新郎はまたしても根が生えてしまっていくら言ってももう動こうとしない。わたしは横浪スカイラインに行きたかったのだけど、新郎はそのまま防波堤で釣りをはじめてしまった。
新郎の海釣りはといえば、先日、ため池でブラックバスを釣ったときとまったく同じ仕掛けでやっている……動きたくないのを正当化しているにちがいないと思っていたら、新郎がキーキー大騒ぎしている。まさかと思ったらホントに何やら怪しげな魚を釣り上げていた。それから10分後にもワニみたいな魚を釣り上げている。ある種の才能があるのかもしれない。
ところが新郎、あまりに釣れるので、食わないのに釣るのはかわいそうだと言い、釣りは中止。帰ろうとしているところに愛媛ナンバー、走行300キロのぴかぴかニンジャの女の子が来てしばしバイク談義。それにしてもわたしのニンジャがつくづく車高が下がっていることを認識。ここまで下がるかってぐらい下がっている。(足つきのよさはピカいちだが)
◆死ぬ気で食えや、1万円
このあと高知市内を路面電車といっしょに走りまわり、高知駅前の観光案内所で今日の宿を探す。わたしたちとしては最終日ぐらいは、健康センターでなくちゃんとしたところに泊まろうかという心積りだったのだが、観光案内所の人はわたしらの小汚いカッコを見るなり、
「お安いところがよろしいですね」
「いや、ほどほどのところで」と新郎。
どうやらわたしに多少は気をつかってくれているらしい。
案内所の人はにこやかに、それでは……と言って、はりまや橋近くの8千円の宿を紹介してくれた。
ところが行ってみて驚いたのは、これがいかがわしい裏通りの中のホテルで、なんと二人で8千円。一人8千円とばかり思っていたので、二人とも思わず大笑い。
夜は浮いた分で死ぬほど高知の海産物を食べようと、ホテルのおかみさんにすすめられた居酒屋に行く。ところが二人で8千円ほど食べたら、もうほとんどギブアップ。なさけないからせめて1万円ぐらいは食べようとがんばってお会計1万40円也。一生に一回だからと死ぬ気で食べてこれなのだから、ほんとにわたしたちの体って、安あがりにできている。
それにしても、明日はフェリーに乗って東京に帰るのだと思うと、ちょっと寂しい。
<本日の走行>380キロ
◆最終日、真紅のツツジの五台山
今日は最終日。
ゆっくり起きだしてから、はりまや橋で土産を買いあさり、五台山に行く。フェリー出航の18時20分までをここでゆっくり過ごす。五台山は高知港をはさんで高知市街の対岸に位置する山なので、四国への名残を惜しむにはぴったりの場所だ。
折りよくツツジのいい季節で、蝉まで鳴いていた。ただクマンバチの縄張り意識が強くて、人間といえどもなかなか進入を許してくれない。でもこんなところもすごく南国っぽい。ただひたすら、ぼおーっと高知の町並や港を見おろして時間をすごす。
 
夕方フェリーに乗り込み、17時20分の出航を待つ。
旅がおわり、新しい生活がはじまるという気持ちが胸にせまり、軽い興奮が何とも心地よい。これが旅情なのかしら。
高知と東京を結ぶ「さんふらわあ とさ」は、今年の夏に引退するという。 新郎は船の名前がおかしいと言い張る。「さんふらわあ8」のはずだ、と。あんまり彼がうるさいので船首に行ってみると、確かに「とさ」の部分はあとから書き直されている。うっすらと消された「8」の文字も見える。デッキ内の喫茶店の名前も「パーラー・エイト」。うーん、彼の言うことは正しいらしい。それにしても、
「何でそんなこと知ってんのよ?」
「小学2年のときにね、生まれてはじめてつくったプラモデルが『さんふらわあ8』だったんだ。細かいところまで全部おぼえてるよ」
じゃあ、この船、20年も働きつづけてたわけなんだ。
「なんか、この船の最後に乗れてよかったね」
新郎はうれしそうにうなずいた。

<本日の走行>60キロ
|