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 革ジャンの上に白の巡礼着を羽織り、
 バックパックには杖を、
 そして贖罪の旅ははじまった

<平成7年 3月>

 昨年の就職活動の失敗によってはじまった5年目の大学生活だったが、あっというまに時節はめぐり、長いようで短かったこの5年間も、残すところ1ヶ月となってしまった。辛くも手に入れた社会人の切符だったが、ふりかえってみると不思議なことに、就職活動そのものよりも、その後に始めたバイク急便の仕事の方が印象にはのこっている。先日、最後の仕事を終え、箱を返してきた。けっきょく自分の学生時代は乗り継いできた八台のバイクだったのかなと思う。別に何やかやと理屈をつけるつもりはないが、しかしバイクにはやはり、人に哲学させたくなるなにものかがあるらしい。
 まあ、自分なりに5年間というものに区切りをつけてみたいということなのだろう。もっと手ごろに、卒業記念といってもいい。
 金があればボローニャでもアンダルシアでも景気よく行きたいところだが、残念ながらそんな余裕はない。あるのは63140円と型落ちのくたびれXR600。
 行き先は四国に決めた。63140円なら妥当な線だ。八万あったら九州、十万なら沖縄。その程度の根拠だ。

    *

 うきゃきゃきゃ。うきゃー。卒業だ卒業だ卒業だ。行くぞレーサーXR、四国だ四国だ四国だ。うー、四国行きて〜! アイラブ四国、ウーン、ブッチュウ。
 ラリーブッシュガード、パンク修理キット、ポンプ、シュラフカバー、エマジェーンシースタンド……やややや、買い物だけで六万使っちゃった。あちゃぺー。パパーに泣きついて五万の援助獲得、兄貴から餞別で一万頂戴。おーおー、渡る世間、陽気にやってりゃ何とかなるもんだ。

 

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