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西明寺駅に置いたバイクにもどった僕は、そこから元来た道をゆっくりと引き返し、ふたたび田沢湖に行った。往路ではろくすっぽ景色も見ていなかったので、数時間前に通ったばかりなのに、はじめてみたいな感じだった。
タツコ姫の像は湖の周回道路沿いにあった。観光バスからぞろぞろと降りてきたツアー客たちが楽しそうに記念撮影していた。日本でもっとも水深の深い田沢湖の湖面に映りこんだ周囲の山々がおだやかな春風にたゆたっている。
ふと僕はタツコの金色の姿をまじまじと見た。美しかった。
田沢湖のタツコ像を見に来た数えきれないぐらいの観光者たちのうち、タツコが西木村の女だと知っているのはほとんどいないだろう。誰もが田沢湖といえばタツコという旅行会社のパンフレット的な連想でここにやって来る。西木村の女として遠くからタツコを見ていた僕に、彼女が一瞬、ぺろっと舌を出したような気がした。

田沢湖に舟を浮かべて昼寝
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