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 俺もいよいよ年貢の納め時。
 馬鹿するバイクはもうオサラバ。
 でも、その前に最後の馬鹿をかけて北海道。

 ●97年6月27日〜7月2日
 ●レポーター;Chihiro Ichihara

◆走り納めなのだ

 バイクに乗りたくてプータローだった。大学を卒業してから1年半、しかしついに年貢の納め時。ふとしたきっかけでテレビ業界のADをやることになった。仕事に打ち込む覚悟のほど、危険なバイクとの付き合いにおさらばし、健全なバイクとの付き合いを迎えるために大借金でtesiを購入。危険なバイクとはナインアール。FCR、オーリンズ、テックサーフで完璧に危ない。こいつで馬鹿する最後の晴れ舞台を求め、北海道へ。
 昨年、北海道を走ったときはTDMで苦い思いをした。札幌ナンバー、女つきシルビアに完全敗北。おまけに風圧で現金、カード一式吹っ飛ばすという救いがたい間抜けさ。それだけでなく、北海道を走っているあいだ中、速いヨツワに悩まされつづけ、北の大地を後にするとき、来年こそはリミッターの吹っ切れた、本気のバイクで再来することを誓ったものだ。
 6月27日、梅雨のあいまの晴天の中、初期型ZXRカラーをまとった最強のバイクとともに進路を北にとった。
 今回のミッションは、

「北海道の峠を走り、5000kmを無敗で帰還する」

馬鹿は死んでも直らないのだ。


◆6月27日<1日目>

 出発は昼前になった。国道6号を北上し、途中から常磐高速、磐越道、そして東北道。
 タンデムシート上の荷物が何度もずれる。寒さ対策のため積載したウィンタージャケットが風圧でネットのすきまを拡張していく。後ろのバタツキが気になってしょうがない。
 東北道は白河も過ぎ、ワインディングがはじまったあたりで、後方から黒のグロリアが急接近。そのままパスされ、三拍もおくと点に。覆面ではないようだ。もちろんガバッ!
 やっと照準に入り、200で左コーナー、追越車線のグロリアをインから抜きさるかたちになった瞬間のこと、


   ガきょん!

 リアの駆動が一瞬止まったぞ、おい。
 そのまま立ち上がり加速に入ろうとするが、思考の方がフル回転。
 何だ、今のは。
 100まで落として、さらに考える。グロリアはまたたくまに再び点となって視界から消えた。後ろを見るが荷物はある。
 後方からきたクルマがクラクションを鳴らした。もう間違いない。車線の左に寄せて停車した。

    またやってもうた……

 

◆戦友を手厚く埋葬す

 荷物ネットの後ろは無残にひきちぎられて、だらんとぶらさがったあとには、あるはずのウィンタージャケットがない。通りすぎる車がパッシングしていく。
 ツナギ一枚でしのげるほど6月の北海道が甘くないことは、昨年の経験でよくわかっているだけに、初っ端から自分の阿呆さに涙が出そうだ。
 その後のことはとても書けない。結果的にジャケットは取り戻した。思ったより遠く、5キロばかり戻った道の真ん中に落ちていた。どうやって戻ったかは想像におまかせする。人間、窮地に立たされたら何でもできるということか。
 サービスエリアでジャケットの供養をし、そのままゴミ箱に埋葬。そうするしかなかった。戦友はとても見れた姿ではなかったのだ。
 ついにツナギひとつで北海道に行くことになった。カッパは2枚あるし、なんとかなるような気がするとかいって、甘い見込みにすぎないが。

 

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