|
もやもやとした思いを吹き飛ばすべく、本日、俺たちは北海道最北端、宗谷岬をめざす。
宗谷岬までの道はクルマも少なく、大きなカーブが雄大に連鎖している。スピードメーターがないと、かえって速度をださないものだ。自分のフィーリングで、心地よい速度を選択するからだろう。
宗谷岬では日本最北端での立小便のチャンスをうかがうが、あまりに民間人が多く断念。笑うなかれ。ライダーなら誰でも考えることだ。
稚内は何かの祭りをやっていた。スペシャルウニ丼は、ウニ、ホタテ、イクラ、カニがモリモリのてんこ盛り。もう死んでもよか〜。
満足した腹をさすったあとは、日本海側を南下。走れば走るほど道沿いに出ている看板に書かれたウニ丼の値段が下がっていく。景色も見ずに看板ばかり見ている俺たち。
国道232号線を南下し、留萌を通過。途中、海岸沿いのひなびた温泉を発見し、ふらーっと一服。旅の汗を流す。
小樽近くでついに念願の「ウニ丼1500円」の看板を発見。すかさず胃袋におさめる。小樽に入ると、道路の車線も増え、ここもまたクルマのペースが速いこと速いこと。あちこちで小競り合いをやっていたら、およよ、エンジントラブル発生!
六千回転以上まわらない。ガス欠の症状のような不整爆発で、エンジンが吹けない。サイレンサーも芯が折れたのか、抜けたのか、中でガラガラいっている。当然、排気音は妙なことになっている。
北海道とはなんとバイクにとって過酷なところなのか。メーターは動かず、エンジンはボロボロ。満身創痍。そんなときに小樽から出ているフェリー会社の看板を見ると気が弱くなってくる。どこでエンジンが止まるか分からない。だましだまし走るには、あまりに帰路は遠く長い。
「小樽からのフェリーだと、新潟からけっきょく走らなきゃなんないからなあ。」
オッサンは頭をひねった。「やっぱ、室蘭の方から大洗行きに乗るしかないかな。」
「そりゃ無理だわさ。」
俺は首を振った。「船なんか乗ってたら、バイトに間に合わんが。」
「アッシは会社、辞めてきたからいいんだけど。」
「まいっちゃったなあ。」
とりあえず、走れるところまで走ってみるしかない。結論は単純だ。
しかし行くべしと走りだすや、積丹半島を横断する迂回ルートを選んでいるあたり、われながら、まじめに帰る気があるのかどうか怪しいものだ。海岸沿いの道は北海道物流の主要ルートから完全にはずれていることと、大きな町がないという理由で、これまた極端に交通量が少なく、道東とはまた違った北海道の妙味があった。道路崩落通行止めを食らい、さらに延々と迂回ルートをとらされる羽目になり、泊まれそうな場所を見つけられないまま日は暮れていった。
|