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網走湖畔のキャンプ場をめざす。いったんやんでいた雨がここでまた降りはじめた。早いとこテントを設営したいのだが、キャンプ場が見つからぬ。看板は確かにあるのに、キャンプ場がない。ただの山あいの工事現場だ。
「いったいどーいうことなんでえ、こりゃ。」
「やっぱここじゃないの?」
野人たるオッサンは歩きまわってテントを張る場所を物色しているが、重機がひしめく草むらしかない。たまたま歩いていた地元人にたずねると、工事で今は閉鎖中だという。えーい、それなら看板引っこめんかい!
「近くでオープンした新しいキャンプ場がありますよ。」
地元人の情報に俺たちは色めきたつ。「こっちから行くと近道ですよ。」
土砂降りのダート林道を俺たちは突き進んだ。ところがこの道。がたがたがたがた、がたがたがたがた、がたがたがたがた。ふつうのダート道ではない。ひたすら正確なリズムでがたがたがた、がつづく。気持ち悪くなってきた。
「戦車が通った跡とちゃう?」
「ひええ。」
そう。ここは北海道なのだ。
たどり着いたキャンプ場は高級霊園みたいな超豪華さ。入口はパスカードで通る遮断機があり、いつまで立っても開かない。インターホンで管理事務所につながると、バイクには反応しないとのこと。それじゃいつまで立っても開かないわけだ。えーかげんにしてくれ。管理事務所のおじさんが遠隔操作でゲートを開けた。
園内はフリーテントサイト、オートキャンプ、ロッジなんかが、美しく刈りこまれた芝生とともに整然とならび、それらをつなぐ園内道路はまるでサーキットのよう。この広い敷地に俺たちの他に宿泊客はいない。オッサンは嬉々とした表情で、この園内サーキットを攻めていたが、そこら中にこういう阿呆を監視するためのカメラが設置されているのを知っていた俺は遠慮しておいた。
管理塔には、シャワー、ミニ体育館、売店、二十四時間体制の警備員詰め所と、至れり尽くせり。炊事場もアルミの流し台がぴっかぴか。

「うへえ。こりゃうちのよりよほどキレイだ。」
オッサンはしきりに流し台をなでながら感嘆していた。食事を終え、テントに入ろうとしたとき、警備員がまわってきて、
「今晩は天候が悪いから、もし怖かったら管理塔で寝てくださってけっこうですよ。」
と、親切きわまりない。しかし待てよ。俺たちはキャンプをしにきているのだ。
とかいいつつ、管理塔を探検に行った。テレビが大江健三郎のノーベル文学賞受賞を伝えていた。体育館に卓球設備があったので、オッサンと卓球勝負。貸し切り状態に調子にのって、バレーボールまでやりはじめるが、やっぱり二人だけだとだんだん虚しくなって、最後の方はもうしんみり静かになってしまい、テントにもどって寝た。
このようなキャンプ場が北海道全体に増えつつあるという。きっといいことなのだろうが、1500円の料金では俺たちルンペンプロフェッショナルには少々きつい。体育館はなくてもいいから、霧多布のキャンプ場のように無料がいちばん俺たちにはうれしいのだ。
(本日の走行・推定440キロ(メーターが壊れてしまったため、推定値)
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