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12、北海の情感、ここに極まる

 <7月4日(火)>
 
 野付国道は本土の人間にとってはもっとも衝撃的な光景を目にすることになる。右手に北方領土を浮かべた黒い海。左手には鬱蒼とした湿原とそれを縫って蛇行する小川。海と湿原とが同じ海抜にある摩訶不思議な一本道だ。

 小さな町を通過するたびに、地元の小学生がこぞって、ピース、ピースと、ピースサインをおくってくる。鳩のようにTシャツの胸を張った仁王立ちで元気よくピースを飛ばす三年生ぐらいの男の子。上級生ほど慣れていないのだろう。1、2年生ぐらいの小さな女の子が恥ずかしそうに、恐る恐るピースをだしたので、俺は両手を離してピースでこたえてやった。バックミラーの中で二人の女の子が小躍りしながら点と消えるまでこっちを見ていた。おもしろいことに、6年生ぐらいの大きな子になると、横目でちらと見るだけでバイクに関心を示さない。ツーリングライダーにピースをおくるのは、低学年の遊びらしい。つまるところわれわれの精神年齢なんてそんなものか。
 野付半島に着いたのは八時半。
 日本一の大砂嘴を堪能すべく、バイクを降りて1時間ほど原生花園を散策。北方領土国後等がすぐそばに見えるのは、なかなかの迫力だ。やっぱミサイルとかがこっちをむいていたりするのだろうか。
 オッサンはこのところかなりの禁断症状がでているらしく、トバをくわえていないと落ち着かないようだ。すでに一袋はしゃぶり尽くし、今のは2代目。歩きながらしゃぶるにはいいかと、俺も一本もらって食うが、ドライブインにもどるころには激しい便意に襲われた。こんな美しい自然の中、毒素のような下痢を射出するのはなかなか気分がいい。

 

 

 

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