|
<7月4日(火)>
不気味なカモメの鳴き声で目が覚めた。
家を出る前に最終回を見たマンガアニメのテーマソングに、「カモメは歌う、悪魔の歌を」というフレーズがあったが、ここに来てはじめて意味が分かった。
表に出ると、何時ぐらいだろう、あたりは真っ暗だった。しかしおびただしい数の鳥たちが盛んに声をあげている。彼らは知っているのだ、夜明けが近いことを。空を見上げると、飛び交う鳥たちのむこうに星の弱い光が見える。雲が切れた。
やがて東の水平線が明るみはじめる。海のむこうに火の国があるかのように、道東の夜明けは赤い。神々しい曙に魅了されているうちに、ふと昨日までの頭痛がおさまっていることに気づいた。よし、今日は走るぞ。

霧多布岬を後にした俺たちは国道44号を東進、根室の手前でショートカットし、イトウの待つ風蓮湖へ。もうほとんど海である。防波堤の突端まで走り、釣竿を振るが、あまりに湖が巨大すぎて自分が何をやっているのか分からなくなってきた。馬鹿らしくなって二人とも竿を置いた。
「なんかイメージとぜんぜん違う。」
オッサンは、うん、とうなずく。
「ここで1日粘るの?」
当初はそういうプランであった。オッサンは考えこんでいた。
「走らん?」
「走るか!」
|