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釜石→宮古→久慈。国道を離れてはもどりつ、もどっては離れ、北上。
北海道行きのフェリーはこの日の夜、八戸から出る。八戸まで120キロの道路案内板に気を許した俺たちは、黒崎海岸道路のナイスワインディングを攻撃(ローリング)する。この瞬間のために、ハイグリップタイヤに履き替えておいたのだ。
夏の太陽は夕時になっても高度を下げず、さらに気を許した俺たちは究極の寄り道を敢行する。切り立った崖沿いの崩落しそうな急斜面をバイクで下り、リアスのV字に陥落した深い谷間の海面に出た。
「やりまっか?」
オッサンはにやりとしていう。
俺たちは競争でもするように荷物サイドにくくりつけておいた釣竿(キャスティングロッド)をひっぺがし、釣りの準備。言い忘れていたが今回のツーリングは爆釣(ばくちょう)ツーリング。狙うはもちろん幻の名魚、イトウだ。イトウ爆釣のために、ちゃんと風蓮湖で一泊分予定をとってある。フットワーク軽くあちこち移動しては竿を振るオッサンは、うれしそうに巨大なフローティングミノーを海面にぶち込んでいる。まったくカジキでも釣るつもりだろうか。俺は堅実にワームで大きな昆布の脇を集中的に攻めていると、一度だけスリムな魚が追っかけてきて馬鹿にするようにサッと逃げた。
黒崎を後にして国道45号にもどり、種差海岸のところでもう一度県道に入った。ここの食料品店で俺は2本目のリザーブを買い、オッサンは何やらあやしい巨大な食料品を買っていた。鮭をまるごと燻製にしたような「トバ」なる食い物だ。
種差海岸の広大なキャンプ場を歩きまわっているうちに日暮れをむかえた。そこの海鮮料理屋でミソラーメンを食べた。奮発してウニ丼でも食ってやりたかったのだが、北海道上陸のモチベーションを高めるために忍耐。しかしせめてホタテラーメンぐらいにしておけばよかった。
店のオヤジに八戸までの道をきき、ここからはオッサン先導で走る。三十分ほどで広い港の駐車場に着いた。午後七時三十分。翼よ、あれが八戸の灯だ。
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