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 10月18日(水)

 天狗高原キャンプ場、八時四十分発。
 今日も快晴。439から、440、197。黒潮ラインは南国土佐の海の荒々しさを存分に楽しめる道だ。それにしても秋空と海の境目が分からないほどに何もかもが青い。
 桂浜をへて高知市街に入る。コンビニで昼食。
 じつはこの日、懐具合が寂しくなってきたことがおもな原因で、このまま最短ルートをとって高松までもどり、そのまま四国を離脱する計画だった。しかしあまりの気持ちのいい天気に、かなり遠回りにはなるが、室戸岬経由、東海岸を通っていくことを提案する。しかしオッサンはめずらしく誘惑に負けない。尋問すると、今日中に会う約束をした女が鳥取にいるのだという事情。オッサンの言葉を正確に再現すると、
「鳥取のスケをコマしてきやす、へへへ……。」
 その場で別れを交わし、それぞれの進路についた。
 一人になったのも束の間。すぐに新しいパートナーができた。
 海に映えるさわやかな水色の制服に、白が目に眩しいホンダのナナハン。時間にして一時間あまり、高知市から安田町までの五十キロ。室戸岬までの半分の行程を二台でチドリ走行する。国道55号は幹線道路だが、交通量も少なく、黒潮の流れといっしょに走るあまりにも気持ちのいい道だ。交差点で止まったときに、本気でその白バイ隊員に「ツーリングですか?」ときいてみようと思ったぐらいだ。
 徳島までは給油のみで走りつづける。

 神戸の友人の家に陣中見舞いに行こうと思ったので、神戸行きのフェリー乗り場に行くが、港の人の話では神戸行きは震災以来、大阪行きに変わっていて、神戸行きは淡路島まで行って乗るしかないという。鳴門大橋は高いので、さんざん苦労して鳴門海峡フェリー乗り場を見つけたが、運休中。やむなく1300円を払い大橋を渡って淡路島に上陸した。
 淡路サンセットロードという県道を走っているうちに日が暮れてきた。慶野松原の海岸でバイクをとめる。キャンプ場の案内図があったので、国民宿舎に問い合わせてみると、キャンプ場は8月20日に閉鎖されているという。ところがそのホテルマン、
「立場上使っていいとはいえませんが、仮にお客様が勝手に入られたとしても、わたしどもは気づかないわけですし、まああくまで仮にの話ですが……、」
 と、やさしく笑った目。感謝。彼こそプロのホテルマンだ。
 それにしても閉鎖されたキャンプ場は不気味だ。テントを張ったあとバイクをだして飯屋をさがすが、周囲にはとんとない。やっと見つけた焼肉屋で定食をとるが、肉もマズ、サラダもマズ、漬物までマズい。ただ味噌汁のワカメがとびきり極上の味と歯ごたえ。あとでテントの中で考えてみたら、鳴門のワカメは強い潮流にもまれて育つという話を思い出した。
 眠りについたあと、夜中にガサゴソ足音で目が覚める。人間か動物なら何とかなるが、足のないやつだったらと思うと恐怖で目が冴える。翌朝、くれよんシンちゃんに出てくるような間抜け面の犬がいた。

<本日の走行・420キロ>

 10月19日(木)

 北淡路町からフェリーで明石へ。明石ではさすが震災の傷痕がなまなましい。
 有名な六甲の峠道を通過するが、ここも一箇所通行止め。丁寧に「バイクも通れません」と書いてある。
 地図を見るが迂回路はすべて有料道路、100円もする。通れませんといわれると行ってみたくなるし、「バイクも」なんてただし書きがついているとますますだ。進んでみると、土でつくったバリケードが二箇所。
 こいつは何とか突破。
 そして出てきた路面崩落現場。

 降りるだけなら何とか行けそうだと思いながらも、一度降りたら引き返せない状況だ。今から考えれば歩いて事前調査してから行くのが無難だったろうが、その場は幸いにも大丈夫だった。あとは宝塚を抜けて、友人宅へ。

<走行・168キロ>

 10月20日(金)・21日(土)

 昨晩は深酒で二日酔い状態。司法試験受験生である友人の勉強の、これ以上邪魔とならぬよう10時には出発。大阪近辺を迷いながら、307、422といった3ケタ国道で紀伊半島横断、伊勢湾に抜ける。
 あとは幹線道路で忍耐の走りだが、名古屋を通過するころには辛抱も限界。
 473、301、151、257、362と継ぎ足して走り、日暮れのあともドハマリ状態で泣きをみる。浜松市街でまた一時間ほど迷い、浜松健康センターに着いたのは七時半。
 ぐったり。
 最後の奮発でジョッキビールを飲む。ちょうどシニアカラオケ大会がやっていて、愉快極楽。あとは仮眠室で五時まで眠りこけ、翌日土曜日には素直に国道1号線で東京まで帰った。
 九日ぶり自宅に着いたのは昼前のことだった。
 オッサンは鳥取の彼女とうまくやっているのかと思ったら、あまり芳しい戦果はなかったようである。

<388キロ・320キロ>

全走行 2941キロ
実質燃費 22.2キロ
全費用 約5万5千円

 

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