File5. 足まわり篇2

出費86,090円 ★ 累計\211,698


火曜日に1週間ぶりに復活したZXRのテストを続ける。
都内の各所を走りまわり、その機動性の高さに改めて驚く。乾燥重量は200キロ以上だし、最新のレプリカからすれば古さは否めない。が、ZXR750H2は、阪神地方の限定解除試験場の試験車輛であったことでも有名なバイク。街乗り性能というか、乗りやすさはレプリカとしては出色の出来、の、はず、と、しいて自分に言いきかせているところが悲しい。
まわりの人間からは「金の無駄」「タダより高いものはない」と馬鹿にされ放題。「そんなバイクに負けたらバイク降りるよ」とまでコケにされればされるほど後にはひけない。ビーフリーのマネージャー森田氏にも、さんざんやめるようにと忠告される。「乗るバイクがないなら、これ貸してあげるから」とZZR11を指さすが、全国のぶんぶん読者のためにも企画を投げるわけにはいかない。森田氏はよほど心配したのか、かけた金の分でZXRを引き取るから、とにかく手をひけとまで言う。「市原君のバイク人生がおわっちゃいそうだよ」とまで言われるが、言われれば言われるほど後にはひけない天の邪鬼。
9月6日金曜日、オートボーイにドック入り。
フロントサスのオーバーホール。ガスケット類、フォークオイル交換。
フォークオイルには、やわらかめの10番をチョイス。とにかく最初は標準セッティングからはじめる。なんといってもこちとら、フォークのことなどこれっぽっちも分かっていない素人である。
この日はさらに、あらかじめ頼んでおいたシートカウル一式も装着してもらった。ビス類もすべて新調する。
「やっとバイクらしくなってきましたね」
メカニックの鴻巣さんと笑う。
そこへわが弟がドカ900SSでやってくるや、一言、
「このバイクおわってんぞ、兄貴」
最初のひどさを見てきた僕と鴻巣さんは顔を見あわせ、
「これ、ずいぶんよくなったんだけどなあ……」
弟とテスト走行がてらライコランドに行くことにした。
ZXRのアクセルをふかしながら弟が苦笑する。
「このサイレンサー、後ろから抜ける量より前からの方が多いじゃん」
いかにも! 排気漏れの方が多いのだ。だから12気筒のごとき素晴らしいサウンドをかなでる。実際、これほどまでにいい音が出ているマフラーはそうはないだろう。バンスアンドハインズが9月15日の船便で入ってくるというので、ぎりぎりで注文を入れておいたのだが、正直これほどいい音は望むべくもない。
排気音とはまた別に、サイレンサー前部の壊れた金属片が、漏れる排気によって微震動を起こし、カリカリカリと神経質な音もたてる。これが実にFCRキャブのカリカリ音に酷似しているのだ。ほぼ99パーセントの人は、FCRだと思うだろう。
これはこれでなかなかイカしているのである。が、少なくとも10馬力はロスしているであろうというのが識者の弁。
この日の出費。

フロントサスオーバーホール

シートカウル+テールエンド+ビス一式

これら工賃込で86,090円

しかし、意気揚々とテスト走行へと出発したZXRが、このあと10分以内に再び帰らぬバイクとなるとは、いったい誰が予想しえたろう。弟曰く、じゅうにぶんに予想しえた。


[INDEX]★[次へ]