|

- index -
新しく買ったZXR750は本来、部品取り車でかまわなかったのだが、それをいうとバイク屋のオヤジがあまりに悲しそうな顔をするので、車検二年付きでナンバーを登録して納車してもらうことにした。
今はどこもかしこもデフレでぎりぎりのプライスでだしている。デフレというものは、ぶどう酒を入れるはずの革袋に、みんながみんな水を入れて、けっきょくぜんぶ台無しにさせてしまうようなものだ。そんなことでは、いつまでたっても日本はよくならない。浪費がたいせつなのだ。
浪費をするのに値切るやつがいるが、本来、浪費というのはセコさをだした途端に美学が崩壊する。浪費は愛でなければならない。ぱあっと周りを明るくするのが浪費の醍醐味である。自分のことしか考えない浪費家なんてのは、犬に食われてしまった方がましだ。
「あんたみたいな人に乗ってもらえると安心ですよ。」
納車されたばかりのバイクにまたがったときに、店主はいった。僕は笑って頭を下げ、ゆっくりとアクセルに手をおき、初冬の日ざしを受けて白く照り映えたアスファルトに走りだした。
実に乗りやすいオートバイだった。サスペンションはしなやかでエンジンはどこまでも軽やかだ。低速からごりごりとカワサキのオートバイらしい加速をする。川べりにバイクをとめ、少しはなれたところから眺め、草むらに小便をすると、満足して帰った。
キーを抜いたとき、すでに僕はこのオートバイはおしまいにしようと決心していた。求めているのは優等生のオトモダチではない。性悪な相棒だ。その日のうちにバイクは熟練のメカニックの手によってバラバラになっていた。
ZXR750初期型(89年式)改、ゼロツーモデル(2002年モデル)の制作がはじまった。
(2001年12月17日)



|